新うきさと通信 

三重県の山里から

   天網恢恢、疎にして漏らさず

                                                       議事録を捏造

 開くべき住民総会を開いていないのに、市には捏造した議事録を添えて「開いた」と、虚偽の報告をしていた法人の自治会がある。市は「2度としないように」と注意しただけで、厳しい咎めはない。

 この自治会がウソの報告をしたのは、運営している集落の簡易郵便局を存続させるためだ。1昨年3月、会長が不意に辞任、すぐにも後任を決めるべきだったが、副会長らが空席のままで役員会議を召集できなかった。

 そのうち、受託契約している日本郵便から5月31日までに後任人事を報告するよう迫られ、タイムリミットの29日に仮の役員会議で6月1日付の新体制を発足させた。規約によると、大きな人事異動は総会の承認を得なければ発効しないが、住民には「もろもろの事情から…」と、チラシを配布して総会を開かないことへの理解を求める一方、市側には捏造した議事録を添え、「開いた」と届け出た。                                    

 問題はここから。住民は、新執行部が総会を開かなかった事実をありのまま市に届け出ていると信じ込んでいたし、市側も提出された書類から「開いた」ことを疑わなかった。新執行部は住民と行政の双方を欺いたわけだ。このカラクリは、同じような前例があることを知った一部の役員が時間的に追い詰められ、それをそっくり真似たもので、副会長は何も聞かされていなかった。

 その後、新うきさと通信発行人の大窪興亜が市に情報公開請求をしたことから事実が露見、市は集落に会長を訪ね、事情の説明を求めるとともに、後日、2度にわたって詳しい内容を調査するための文書を市長名で送ったが、数カ月にわたり放置され、市側も返答を催促しなかった。

 一区切りついたのは、問題が発覚してから1年以上たってから。昨年3月の総会で大窪が対応を質したのを受け、8月に会長が市に対し「当時は自治会の役職についておらず、役員会議を招集する権利がなかった」など、やむをえなかった事情を説明、市側も了承したことで、ひとまず収束した。

 だが、これは表向きで、火種はくすぶり続けている。問題が発覚し、市から自治会に送られた事情の説明を求める文書への対応が極めて鈍かったことがその要因。見方によっては時間の経過とともに、双方とも「忘れ去られる」ことを期待しているのでは、との「邪推」も生まれ兼ねないほどだった。

 しかも、結果は「注意」だけ。三重県のある自治体は、「法人格を取り消されてもおかしくない」と、裁定にクビをかしげている。コトは法廷刑のある有印公文書偽造。天網恢恢、疎にして漏らさず―。