満4周年のフードバンク松阪
旧宅の玄関に積まれた寄贈のコメと手島さん
利用者60世帯超える
まだ食べられるのに、捨てられてしまう食品を譲り受け、それを必要とする人に無償で届けているNPO法人フードバンク松阪(手島禮子代表)か゛活動を始めて12月で満4周年を迎えた。
昨年の受け入れ件数はコメ、野菜、果物、菓子、カン・ビン詰め、インスタント・レトルト類、鯛焼きなどのほか、ヒーターやコピー機、食器、服、洗剤など、暮らしの必需品を合わせて865件。届け数は984件。新規の申し込みは15人。
「何と言っても最強の魅力」のスタッフは、共感の輪が広がり、当初の10人から19人へと、ほぼ倍増。月初めに開く会議が終わると、どんなに数が多くても一斉に配達。利用者の事情で急な別の日もある。
活動のきっかけは、手島さんが社会問題になったスーパーやコンビニなどの売れ残った恵方巻の大量投棄に胸を痛めていたころ、大学の同期生から同じ思いを明かされたこと。
当初は数えるほどだった利用者は60数世帯に増えたほか、松阪市内のファミリーマート6店でフードドライブを、ぎゅーとら長月店とコメリでそのキャンベーンを実施、さらには近郊の事業所だけでなく、東京、埼玉、滋賀などの都県からも食糧や災害用の備品が寄贈されるまでに広がった。
「喜んでばかりは」
ただ、こうした゛盛況゛は、困窮の加速を現すものであるだけに、手島さんは「とてもありがたいことですが、喜んでばかりいられません」と、複雑な思いを覗かせながらも、「捨てられるものがそれだけ減る」と、ちょっぴり愁眉を開く。
電話や来客が引きもきらず、外出もままならないほどに多忙だが、「いろいろな人に出逢えるのが楽しみ」と、もう1つの手応えも感じている。
(問い合わせは手島禮子まで。電話・090-7309-7287)
農園を2倍に拡張
僅かなサツマイモ作りでフードバンク松阪などに役立ててもらった農園を2倍に拡張した(写真上)。広さは300坪ほどか。伊勢芋も育てることにしている。苗植えは来年5月。
81歳、「意味」との問答―<その1>
81歳の後半。遺したいものが現れた。若い頃は55歳で死ぬ、と確信していたのだが。本を2冊発刊し、それなりの社会的反響はあったが、これ以外には人に語るほどのことはしてこなかった。誰を幸せにするでもなく、徒な吸収と排泄の繰り返し。メディァでの仕事には、些かの自負がないわけではないが、そんなもの、大したことでない。トラは死んでも皮遺すと、小6のとき、先生から教えられていたのに。
70歳の世界に足を踏み入れた瞬間、40代で気づいていたものの、実行できずにいたことが頭を擡げた。「意味」である。自分だけウマいものを喰って喜んでいるのはイヌ、ネコと同じ。他人に分け与えれば、それは2倍になる。「意味」が生まれるのだ。もとより、そんなことが目的ではないのだが、ここには孤食にはなかった深い味わいがある。
尤も、それなら、人数をどんどん増やせばよかろうという、意地悪だが、本質的な問いには答えられないが、それが他者との関わりの中からしか生まれず、人は「無意味」に耐えられない生き物であることは、どうやら真実だ。「そんなことをして、何になる」と、人は屡々「意味」を問うではないか。
文化古民家の後継者を
遺したいものとは、2軒目に買った築100年以上という古民家だ。自宅にしている1軒目は21年前、知人の古老に案内されて偶然に出会った。敷地50坪、建坪30坪の幽霊屋敷さながらの廃屋で、35万円で手にいれた。いつ仕事が入るか分からない軽貨物運送をしていたのでクギ1本打って引き返したこともあり、何とか住めるようにリフォームするまで3年かかった。電球を取り換えるのも億劫なほどに不器用だったが、お陰で古民家の真価を知った。新築にはない味わいがある。何千万ものローンを組むことのバカらしさを思い知った。3回の新築は何だったのか。
2軒目は自宅から徒歩4分。敷地70坪、建坪30坪のほかに、100坪ほどの空き地(写真上)と茶畑が付く。3桁の値段で売り出し中だったが、図書室とギャラリーを作りたい、と「志」を打ち明けると、2桁に大幅値下げしてくれた。元小学校の校長で、「文化」への理解があったのであろう。この恩義は決して忘れまい。地元紙で紹介された。
来春で3年になるが、自分の死後の後継者が欲しい。誠実で、文化に深い関心のある人はおられないだろうか。2年前から探しているが、「候補者」さえ見つからない。財産は全て無償で移譲する。法人化して公共財にしてもらえればありがたい。
(関心のある方は、松阪市柚原町30-3、大窪興亜までご連絡ください。090-1471-4941)
ウクライナから避難の父親と逢えることに
ロシアの侵攻で四日市に避難してきたウクライナの男性と22日に逢えることとなった。この理不尽な犠牲を黙視できないと、春に200坪ほどの農園を作り、秋になって地元紙を通じサツマイモの提供を呼び掛けた。
三重県には以前からの在留者が12人。避難者は3人で、うち2人は日本を出国、残るは1人。子どもを頼って身を寄せた70代の父親らしい。曲折を経て、四日市市役所が橋渡しをしてくれた。ダメ元で用件を電話すると、「分りました」という男性職員の闊達な声が弾け、今時の官吏とは思えないほど、とんとん拍子にコトは運ばれた。
当初、在留者が1人いるという情報を得ていて、市役所に連絡を懇願したが、「そういうことはできません」と、女性職員は事務的に反応した。12人にネットワークがあれば、四日市に伝わるのではないか。そんな期待からであった。行政はこんなときにこそ、市民の要望に熱く応えるべきではないのか。ただ、以前からの在留者だと、個人情報の漏洩問題が起きる恐れがあり、行政としても慎重にならざるを得ない事情もあるようだ。
意欲なし?新規条例案ゼロ
松阪市議会の昨年の議員提案
令和3年の松阪市議会(臨時会議含む)での議員による議案提案率は8%であることが明らかになった。このうち、議員の意欲を示すバロメーターとされる新規条例案はゼロ(議会事務局調べ)。
提案数は市長132、議員12。議員のうち、改正条例案3、会議規則の改正1,特別委員会の設置3。新規条例案はゼロ。市長提案の採決結果のうち、原案のまま132、修正可決ゼロ。2012年の全国自治体当たりの議員提案率は9%。
一方、全国市議会議長会がまとめた平成29年の議員提出による新規条例案は、人口10万-20万人未満の27の自治体で平均1.2件。三重県では伊勢、名張、鳥羽、熊野、員弁の4市1郡で6件。これ以外では、松阪市を含め、議員による提案はゼロ。また、平成27年は全国ベースで1651件、4.7%。
市議会は本来、条例を提案、制定する権利を持つが、ほとんど行使されておらず、松阪市も例外ではない。同じ状態が毎年のように繰り返されており、議員自らの問題意識がいかに乏しいかを露呈している。市民からは「自分たちの果たすべき役割が分っているのか」「われわれの血税を何と心得ているのか」と、厳しい批判も出ている。
標高330㍍の老人革命…自治会執行部が総退陣
「みんなの店」が廃業
松阪市の標高330㍍の山上で「老人革命」が起きた。80歳と70歳を目前にしたシニア夫妻が中年男女5人で牛耳る自治会の執行部を総退陣させた。価値観の違いから、老人が若者に追い出されるのなら解るが、ウソのようなホントの話のいきさつは―。
柚原町自治会は5月19日、宇気郷市民センター講堂で臨時総会を開き、赤字が続く「みんなの店」の存続について討議した結果、過半数を大幅に上回る32人の賛成で廃業を可決した。
これに伴い、会長、副会長、会計、書記の執行部4役が「(総会は自分への)不信任だ」(会長)として総退陣、郵便局の女性主務員も6月末で退職する意向を明らかにした。
臨時総会は「みんなの店」と郵便局の決算報告書の開示を求めた老夫婦が集落の全住民(28世帯)の署名を集めて実現したものだが、その執念は物静かな佇まいからは想像できないほどの凄まじさで、まさに、「雨の日も、風の日も」だった。
「店」ができたのは15年前。JAが撤退したあと、全自治会員が1万円ずつ出資(元村人が別に300万円寄付)、日用雑貨品の販売を始めたが、30%を超える急速な人口減で売り上げが低下、赤字が続いた。
もっとも、その内実はヤブの中。令和3年度の累積赤字は120万円という「少額」だったが、自治会長の発表なので信用するしかなかった。
不可解だったのは決算報告書を出資者に公開しないこと。役員会議で質しても「解らない」と応じなかった。高齢者には理解できない、という意味なのであろう。だが、ホントのワケは別に潜んでいた。「店」を私物化したかったのだ。
夫が飼い犬を連れ込む、同じ棟の郵便局(自治会と日本郵便株式会社の契約で運営)の奥の部屋で、妻の主務員(自治会の雇用者)が夕食のおかずの煮炊きをしたり、飼っているヤギの餌を自治会の小屋に収めたり、日当3000円の店番の回数を自分の親しい住民(男性)に多く割り振ったり(そんな権限は郵便局員にはない)…その上、日によって極端に変わる応接態度…住民から総スカンを食っていた。
総会で配られた決算報告書の赤字は、400万円から500万円を超えていた。そのくせ、売り上げは減っている。そのワケ質すと、会長は「出資者への粉飾だった」と、あっけらかんと答えた。閉店圧力が怖かったのだろう。
総会では、もう1つの爆弾発言があった。会長が(出資者の)台帳が見つかった」と、真実を晒したのだ。追い込まれた上の覚悟だったろう。赤字でカネが戻ってこない、という噂が広がり、心配した一部の出資者が返金を求めたが、「証券がなければダメ」と一蹴、「台帳があるはず」との反問にも「(前任者から)引き継いでない」とハネつけていた。
それがウソだった。「ある人が持っていた」と、数日前に老夫妻に明かしていたが、総会では「その人の名は言えない」と、公開を拒んだ。夫の議長は、その「ある人」電話で確認したが、「自分は知らない」と答えたことを明かした。台帳は、返金しなくても済むように、金庫に隠していたらしい。
郵便局も店じまい
郵便局も閉局された。前会長の妻が引継ぎを拒んだためだ。老夫妻は日本郵便東海支社をはじめ、近隣の簡易郵便局や知人ら、関係先を駆けずり回ったが、後釜は見つからなかった。主務員は自治会の雇用者であり、退職時には業務を引き継ぐ責任があるのに、それを断った。「教えてほしければ、頭を下げてこい」と言わんばかりの態度だったらしいことを、夫妻は間に立った住民から聞かされたという。
「革命」は、一区切りついたが、余波はある。名実ともに村が再生するには、まだ時間がかかる。
買い物バスでナゾのドタバタ劇―松阪市のデイサービス
「廃止」が一転、「続行」へ
写真上は憩センターの送迎バス。下は住民協議会の買い物バス
お堅いはずの行政が「廃止」と決めたことがひと月も経たないのに一転、「続行」に逆戻りするというドタバタ劇が松阪市のデイサービスの施設であった。何やらうさん臭い内幕とは…。
舞台は自然豊かな標高330㍍の山上に佇むうきさ憩センター。昨年7月、市役所の職員3人が訪れ、突然「9月から買い物バスを廃止する」と通告。理由は「交通事故が心配だから」。
送迎用のこのバスは、同センターの開設以来、20年近く買い物バスにも使われてきた。朝10時から正午までの2時間、利用者にとっては週に1度の遠足気分が味わえる上、コロナ禍で塞ぎ勝ちな気分を晴らすオアシスにもなっていた。
職員の説明の中に「行楽は構わない」と、矛盾した例外がついていたこともあり、16人の利用者は一斉に反発、9人が「施設から引き揚げる」と、強い決意で抵抗、一部では市の出先機関である市民センターにも廃止の撤回を訴えるなどした。
ひと月近く経った8月11日、再び市の職員4人が訪ね、運営を委託しているJAみえなかに一転して「続行」を伝えた。厚生労働省の通知をもとに、三重県が平成28年8月に策定した買い物を「機能訓練」の一環として扱うという要綱に基づくもので、利用者の切実な声を受け止め、高齢者の支援のあり方を再検討したとみられる。
これで騒動はひとまず収まったが、「廃止」に至った経緯はヤブの中だ。市側は「(買い物先の)大手スーパーの駐車場に停まっている『松阪市』の文字が書かれた憩センターのバスを目撃した市民から通報があった」ことがきっかけ、としているが、利用者は「不自然だ」と、クビをかしげる。
通報の中身があいまいだし、かりに違法だと指摘されても、当初の利用者の質問に答えたように、「介護保険法に禁止条項はない」と説明すればすむからだ。ナゾは深まるばかりだが、小紙は仮説を立て、取材を進めた。同じように買い物バスを走らせている住民協議会と関わりがあるのではないか。
このバスは数年前、運転免許を持たない住民のためにスタートしたが、利用者がここへきて減りはじめ、スーパー側が希望する人数(7人と言われる)を安定して確保することが難しくなってきた。スーパー側が人数にこだわるのは、その見返りに運転手の手当やガソリン代などの経費を住民協側に反対給付しているからで、両者は互恵関係にあることなどが分った。
利用者が減ってきたのは、希望する日に満員で乗れなかったため、憩センターへ¨移籍¨したのが原因とされ、定員割れの日には住民に臨時の利用を求めるなど、人集めに苦慮している。一方、バスは買い物バスだけでなく、災害時などには人や物の運搬に役立てることにしていて、住民協としては、どうしても確保しておきたい事情があるらしい。
背景に住民協の買い物バス?
こうした中で、住民協の一部から、同センターの送迎バスの買い物利用を「違法ではないか」と、疑問視する声が上がり、曲折を経て市当局が再検討した結果、正式に「続行」と決まったことが住民協の関係筋の証言で明らかに。「市民からの通報」というのは「ウソ」だったのではないか。やがて「声」の主が住民協の幹部で、行政などの複数の関係者に「違法」を指摘したことが分り、利用者は呆れ返った。
小紙は8月18日、市役所を訪ね、こうした「事実」を基に「通報」の真偽を質したが、市側は「通報はあった」(西山充代高齢者支援課長)としながらも、次のような質問には反論しなかった。
①憩センターと住民協議会は別個の事業主体であり、関わりはない②問題は「民」である住民協の内部で起きており、「官」としての行政は介入すべきでない③住民協は今春から「住民自治協議会」に改称、条例にある住民自治の精神はさらに深化、徹底されていることから、「民」の側で問題の解決を模索するよう助言すべきではなかったか。
これは、市側が「市民の通報」が事実でなかったことを暗に認めたことになりはしないか、と関係筋は指摘している。
松阪市長から返信
去る3月25日、3つの問題の解決と、2つの要望の実現を求めて竹上真人松阪市長あてに出した手紙の返信が5月28日に届いた。以下はその全文。公開が大幅に遅れたのは、前号(5 月 18日付)の「謹啓 松阪市長・竹上真人様」へのアクセスが続いていたため。
万緑の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
令和3年3月25日付け「市長への手紙」について、以下のとおり回答します。回答がたいへん遅くなりまして、誠に申し訳ございませんでした。
反省し、訂正
①広報誌の不配について
広報松阪の配布につきましては、これまで自治会または自治会に入っていない一部地域団体に業務を委託する方法で、各世帯に配布してまいりました。
その中で、松阪市としましては自治会の対象地域の全世帯を対象として委託してきたところです。
大窪様の文書にありますように、松阪市は「もともと、非自治会員には配らないことにしている…」「非自治会員には配れない、とする行政…」と解釈されたことに対しては、誤解を招く伝え方をしてしまい深く反省いたしますとともに訂正させていただきたいと思います。本来、「広報まつさかの配布を自治会にお願いする対象世帯は自治会員、非自治会員に関係なく、全世帯が対象となっていますが、それぞれの自治会運営上のルールに従って配布している。」とご理解いただきたいと思います。
およその数字ですが、松阪市では非自治会員である世帯であっても少なくとも1,000世帯を超えるお宅へは自治会を通じて配布されているという事実があります。大窪様が住んでおられる柚原町についても非自治会員であっても配布いただく自治会もあれば、そうでない自治会もあるという状況になっています。
こうした状況の中で自治会から配布していただけない世帯には、松阪市のホームページやスマートフォンアプリを活用した広報まつさかの配信サービスや振興局・市民センター・大手スーパーなどでも広報まつさかを常時設置し、お求めいただければ全ての方にお渡しできる態勢を整えています。
この4月からは、各地域で住民自治協議会が設立され、今以上に地域と行政が協働してまちづくりを進めていくことになります。広報の配布につきましては、非自治会員世帯へも配布していただけるよう、改めて住民自治協議会へもご協力をお願いしながら、全世帯への配布方法を検討していきたいと考えております。
なお、今回の件では自治会より配布することで協議済みとのお話を伺っております。
組織の関与なく、返金されている
②宇気郷住民協議会の会計の私的流用
令和3年4月1日付で松阪市地域づくり組織条例が施行され、住民協議会条例は廃止となっています。新しい条例の中では、地域づくりを行う住民自治協議会への活動支援を市の役割として規定し、その支援を行う団体として、住民自治協議会の認定、認定取り消しについても記述がされています。
住民自治協議会は、その地域において地域づくりの主体となる自主的な組織として活動を行っていただいていますが、認定取り消しの事案の想定としては、協議会間の統合を念頭にしたものとなっています。今回の件では、会計責任者の個人的な情報の中でその詳細が明瞭でないものの、協議会への返金は行われています。住民協議会が組織として関与したという事実も確認できないことから、認定取り消しの対象事案であるとの認識には至っていません。また、住民自治協議会に関する住民への周知方法については、協議会内で内容を精査した上で、地域において最善の方法にて周知・啓発活動を行っていただければと思います。
地方自治法に罰則規定ない
③法人の柚原町自治会が総会の議事録を捏造
平成30年10月大窪様より、認可地縁団体である柚原町自治会から平成30年6月5日付で提出された「告示事項変更届出書(代表者の変更)」に添付されている臨時総会議事録について、そのような会合(臨時総会)は実際には、持たれていないのではないかとのご指摘を受けました。同月、当時の担当者は柚原町自治会長及び自治会員と面談し、聴き取り調査を行った上で、正式な回答文書を求め、同年7月に回答がありました。
回答より、前会長の体調不良による突然の任期途中の辞任や、役員の高齢化など様々な事情を抱えているのは理解できますが、認可地縁団体として認可を受けた以上は、自ら定めた規約を遵守し、活動されるよう、口頭による指導を行いました。
地方自治法では、この行為に対する罰則規定はなく、また、認可を取り消す理由には至らぬと市は判断させていただき口頭による指導とさせていただきました。
警察で捜査中
④放置された獣害防護柵
防護柵の盗難につきましては、警察に捜査の進捗状況を確認しておりますが、現在も捜査継続中との回答をいただいております。また、耕作放棄地にある防護柵の件では、農水振興課担当者と地域の自治会長とが協議を行っており、一部では耕作を再開しております。
高齢化により、農業の継続が困難となったり、後継者が不足しているなどの課題もありますが、移住促進などに取り組み、状況の改善を進めていきたいと考えています。
条例は規制目的ではない
⑤草害の条例制定を
松阪市みんなでまちをきれいにする条例につきましては、環境美化に対して市民のみなさまの自主的な取り組みによる意識の向上等を目的としております。あくまで個人のマナー意識の向上を目的とし特定の行為を禁止しているものであり、規制を目的としているものではございません。そのため当条例につきましては、変更等の予定はしておりません。
今後も本市にご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。季節柄、くれぐれもご自愛ください。
令和3年5月25日
松阪市長 竹上真人
謹啓 松阪市長・竹上真人様
広報誌の不配・議事録の捏造・放置された獣害防護柵……
松阪市の竹上真人市長に手紙を出した。3つの問題の解決と、2つの要望の実現を求めたもので、いずれも市当局が絡んでいる。55日経った5月18日現在、返信はない。内容は次の通り。
市のホームページで、市民が市長に声を届ける制度があるのを知りました。民主市政へのご見識に深く敬意を表し、その上で次の5点についてお訊ねします。
①広報誌の不配=柚原町では、自治会に加入していない住民への配布が1昨年4月から打ち切られ、市の出先機関である市民センターなどへ取りに行くことに。明るみに出たきっかけは、1年半後の昨年10月、福祉関係の記事を読もうと、老女が部屋中を探し回っても見つからなかったこと。何十年もの間、配布を続けてきた同センターに見解を質したところ、「他の地区に合わせた」としながらも、実際には自治会からの働きかけがあったことを臭わせた。が、余程の深い事情がない限り、行政が民間の「権利能力なき社団」の意向に従うことは社会通念に反する。(同時に虚言が伝わり、問題がさらにこじれた)。
昨年11月、老女とともに市の秘書広報課を訪ね、配布の基本方針を訊いたところ、「もともと、非自治会員には配らないことにしている。柚原町の場合は(市の)好意であり、特殊だ」と、突然の方針転換は本来のあるべき姿に復したにすぎない、との認識を示した。これまでは、言わば「お情け」によるもの、と解せられる。
税金で製作し、市民のものであるはずの広報誌を市民に配るのは行政の「職務」であり、そこに「好意「が発生する余地はない。広報誌は「自治会」に向けたものではなく、「市民」に読まれることを前提にしたものであろう。従って、自治会への加入の有無を配布の基準にするのは論理矛盾であるばかりでなく、重大な差別=人権侵害ではないか。市民センターの入口には「まず燃やせ 人権守る勇気の火」との標識が掲示されている。今回の不配問題は、人権擁護の先兵たるべき行政が自らこの標語を破り捨てる暴挙である。
ただ、非自治会員への配布は行政職員だけでは不可能。このため、次善の策として非自治会員の代表者に一括して届けるシステムを作り上げている市民センターもある。「市は配らない」と言う本来の方針に反しているのかもしれないが、そこには、何とかして市民に届けようとする「好意」超えた「熱意」が感じられ、胸を打つ。
前出の担当課は「町のあちこちに置いてある」と言うが、体調が変わりやすい高齢者は歩くことさえ難しい時がある。これを機に、市内全域を総点検し、遺漏なきよう万全の配布体制を確立すべきではないか。市長のインタビュー記事なども、あらゆる市民に読まれてこそ、その意味が全うされるはずであろう。
「内規には配る義務があるとは書かれていない」と同課では釈明している、とも仄聞するが、これが事実なら、配ることを前提としない発刊はナンセンスと言わざるを得ない。
柚原町では自治会が4月から配ることを決めたが、これで問題が本質的に解決したわけではない。非自治会員には配れない、とする行政の人権感覚こそが前近代的な時代錯誤であることを重ねて指摘したい。
※この問題は、他地区の女性市民がブログの動画で発信していますが、大窪が発行している同封のミニコミで知ったことがきっかけです。
②宇気郷住民協議会の会計の私的流用=平成30年3月に発覚。風聞はそれ以前からあった。監事就任を機に預金通帳を閲覧した結果、50余万円の使途不明金が判明。返還されたものの、市民の血税を原資とする交付金で運営されている住民協の社会的信認を根本から毀損した。しかも、万事に優先して速やかに市当局へ通報すべきところ、一年半以上も放置されていた。事情を知っていた関係者は「補助金がもらえなくなる」、「住民協が潰れる」など、黙殺を得策とする保身体質を露わにした。
監事の役割を果たすため、監査報告書を作成(同封)、役員会議で朗読した。事柄の性質上、全会員への周知を強く要請したが、宇気郷市民センターによると、最終的には配布を代議員(十数名)に留めたという。通帳の閲覧を巡って働いた「抑制」に、新たな問題が加わり、火種は残った。
住民協の条例によると、市長にはその認定と取り消しの権限が与えられているが、本件の場合、後者の対象になり得るのか。いずれにせよ、審議過程の全容を市民に公開すべきではないか。
③法人の柚原町自治会が総会の議事録を捏造=平成30年6月、規約に基づき開かねばならない総会を開かず、市当局に捏造した議事録を添え、「開いた」と虚偽報告、会長らの新執行部が法的に無効のままスタートした。
前会長の辞任に伴う後任選びに手間取ったという事情は理解できるにしても、臨時総会を開いてでも事後報告すべきであった。担当の地域連携課の動きも鈍い上、ペナルティは一切なく、「注意」だけです処理をすませた。有印公文書偽造は法定刑の対象になるほどの重罪。コトを荒立てたくないという保身・隠蔽の体質が窺える。20余年前、当時の市長から認可された法人であることの重みが官民双方から全く感じられない。
④放置された獣害防護柵=数年前に無償で交付されたが、転売の風説と雨ざらしという理解に苦しむ事態が発生。前者は市の職員が現地を調査、あるべき農地から姿を消していたため、警察署に被害届が提出されたが、すでに2年以上も経過しているのに、真相はヤブの中(新聞でも報道)。捜査が打ち切られたのなら、その事実と理由を納税者たる市民に報告すべきではないか。担当課長は「捜査中なので」と、照会に及び腰。
後者は、耕作が放棄されたのに、防護柵が至るところに雨ざらしになったまま放置されていて、写真を持参して同課長に説明したものの、反応は糠にクギの如きものであった。2年近く経つが実態調査をしたのか。税による公共財であり、当局にはその対応についての説明義務がありはしないか。
⑤草害の条例規制を=春から秋までの5カ月間、村は草との闘い。これまで、近隣の空き地などに生えた草は個人が所有者に電話で連絡、有償で刈り取っていたが、世代交代に伴う所有権の移転で名義が変わると、゛交渉゛が難しくなる可能性がある。
そこで、市の条例による規制が望まれる。タバコのポイ捨てや、犬のフンの始末を義務づけた「町をきれいにする条例」に「草害」が加われば、土地の所有者への説得力が格段に増す。市の担当課を訪ね、打診したが、「現地で解決して」と、反応は冷ややか。
2㍍以上に及ぶ草の塊は今や、獣害や風水害と並ぶ公害。松阪だけでなく、三重全域から全国に及ぶ普遍的な課題なので、解決への力添えを望みたい。
コロナ対策等で深くご心労のことと拝察しますが、これらの問題も市の健全な発展を阻害する゛障害物゛であり、真っ当な解決へご英断を期待します。ご健勝、専一にお祈り申し上げます。
敬 具
令和3年3月24日
大窪興亜