新うきさと通信 

三重県の山里から

    謹啓 松阪市長・竹上真人様

       広報誌の不配・議事録の捏造・放置された獣害防護柵……

 

 松阪市の竹上真人市長に手紙を出した。3つの問題の解決と、2つの要望の実現を求めたもので、いずれも市当局が絡んでいる。55日経った5月18日現在、返信はない。内容は次の通り。

 

 市のホームページで、市民が市長に声を届ける制度があるのを知りました。民主市政へのご見識に深く敬意を表し、その上で次の5点についてお訊ねします。

 ①広報誌の不配=柚原町では、自治会に加入していない住民への配布が1昨年4月から打ち切られ、市の出先機関である市民センターなどへ取りに行くことに。明るみに出たきっかけは、1年半後の昨年10月、福祉関係の記事を読もうと、老女が部屋中を探し回っても見つからなかったこと。何十年もの間、配布を続けてきた同センターに見解を質したところ、「他の地区に合わせた」としながらも、実際には自治会からの働きかけがあったことを臭わせた。が、余程の深い事情がない限り、行政が民間の「権利能力なき社団」の意向に従うことは社会通念に反する。(同時に虚言が伝わり、問題がさらにこじれた)。

 昨年11月、老女とともに市の秘書広報課を訪ね、配布の基本方針を訊いたところ、「もともと、非自治会員には配らないことにしている。柚原町の場合は(市の)好意であり、特殊だ」と、突然の方針転換は本来のあるべき姿に復したにすぎない、との認識を示した。これまでは、言わば「お情け」によるもの、と解せられる。

 税金で製作し、市民のものであるはずの広報誌を市民に配るのは行政の「職務」であり、そこに「好意「が発生する余地はない。広報誌は「自治会」に向けたものではなく、「市民」に読まれることを前提にしたものであろう。従って、自治会への加入の有無を配布の基準にするのは論理矛盾であるばかりでなく、重大な差別=人権侵害ではないか。市民センターの入口には「まず燃やせ 人権守る勇気の火」との標識が掲示されている。今回の不配問題は、人権擁護の先兵たるべき行政が自らこの標語を破り捨てる暴挙である。

 ただ、非自治会員への配布は行政職員だけでは不可能。このため、次善の策として非自治会員の代表者に一括して届けるシステムを作り上げている市民センターもある。「市は配らない」と言う本来の方針に反しているのかもしれないが、そこには、何とかして市民に届けようとする「好意」超えた「熱意」が感じられ、胸を打つ。

 前出の担当課は「町のあちこちに置いてある」と言うが、体調が変わりやすい高齢者は歩くことさえ難しい時がある。これを機に、市内全域を総点検し、遺漏なきよう万全の配布体制を確立すべきではないか。市長のインタビュー記事なども、あらゆる市民に読まれてこそ、その意味が全うされるはずであろう。

「内規には配る義務があるとは書かれていない」と同課では釈明している、とも仄聞するが、これが事実なら、配ることを前提としない発刊はナンセンスと言わざるを得ない。

 柚原町では自治会が4月から配ることを決めたが、これで問題が本質的に解決したわけではない。非自治会員には配れない、とする行政の人権感覚こそが前近代的な時代錯誤であることを重ねて指摘したい。

 ※この問題は、他地区の女性市民がブログの動画で発信していますが、大窪が発行している同封のミニコミで知ったことがきっかけです。

 ②宇気郷住民協議会の会計の私的流用=平成30年3月に発覚。風聞はそれ以前からあった。監事就任を機に預金通帳を閲覧した結果、50余万円の使途不明金が判明。返還されたものの、市民の血税を原資とする交付金で運営されている住民協の社会的信認を根本から毀損した。しかも、万事に優先して速やかに市当局へ通報すべきところ、一年半以上も放置されていた。事情を知っていた関係者は「補助金がもらえなくなる」、「住民協が潰れる」など、黙殺を得策とする保身体質を露わにした。

 監事の役割を果たすため、監査報告書を作成(同封)、役員会議で朗読した。事柄の性質上、全会員への周知を強く要請したが、宇気郷市民センターによると、最終的には配布を代議員(十数名)に留めたという。通帳の閲覧を巡って働いた「抑制」に、新たな問題が加わり、火種は残った。

 住民協の条例によると、市長にはその認定と取り消しの権限が与えられているが、本件の場合、後者の対象になり得るのか。いずれにせよ、審議過程の全容を市民に公開すべきではないか。

 ③法人の柚原町自治会が総会の議事録を捏造=平成30年6月、規約に基づき開かねばならない総会を開かず、市当局に捏造した議事録を添え、「開いた」と虚偽報告、会長らの新執行部が法的に無効のままスタートした。 

 前会長の辞任に伴う後任選びに手間取ったという事情は理解できるにしても、臨時総会を開いてでも事後報告すべきであった。担当の地域連携課の動きも鈍い上、ペナルティは一切なく、「注意」だけです処理をすませた。有印公文書偽造は法定刑の対象になるほどの重罪。コトを荒立てたくないという保身・隠蔽の体質が窺える。20余年前、当時の市長から認可された法人であることの重みが官民双方から全く感じられない。

 ④放置された獣害防護柵=数年前に無償で交付されたが、転売の風説と雨ざらしという理解に苦しむ事態が発生。前者は市の職員が現地を調査、あるべき農地から姿を消していたため、警察署に被害届が提出されたが、すでに2年以上も経過しているのに、真相はヤブの中(新聞でも報道)。捜査が打ち切られたのなら、その事実と理由を納税者たる市民に報告すべきではないか。担当課長は「捜査中なので」と、照会に及び腰。

 後者は、耕作が放棄されたのに、防護柵が至るところに雨ざらしになったまま放置されていて、写真を持参して同課長に説明したものの、反応は糠にクギの如きものであった。2年近く経つが実態調査をしたのか。税による公共財であり、当局にはその対応についての説明義務がありはしないか。

 ⑤草害の条例規制を=春から秋までの5カ月間、村は草との闘い。これまで、近隣の空き地などに生えた草は個人が所有者に電話で連絡、有償で刈り取っていたが、世代交代に伴う所有権の移転で名義が変わると、゛交渉゛が難しくなる可能性がある。

 そこで、市の条例による規制が望まれる。タバコのポイ捨てや、犬のフンの始末を義務づけた「町をきれいにする条例」に「草害」が加われば、土地の所有者への説得力が格段に増す。市の担当課を訪ね、打診したが、「現地で解決して」と、反応は冷ややか。

 2㍍以上に及ぶ草の塊は今や、獣害や風水害と並ぶ公害。松阪だけでなく、三重全域から全国に及ぶ普遍的な課題なので、解決への力添えを望みたい。

 

 コロナ対策等で深くご心労のことと拝察しますが、これらの問題も市の健全な発展を阻害する゛障害物゛であり、真っ当な解決へご英断を期待します。ご健勝、専一にお祈り申し上げます。

                                   敬 具

 令和3年3月24日

                               大窪興亜