新うきさと通信 

三重県の山里から

     市長に届いているのか

        

   重大案件、「管理職止まり」になっているのでは

 このところ、行政の職員と話す機会が増えて疑問に感じることがある。「問題」が起きたときの処理の仕方と、その結果が市民には全く見えない場合があることだ。例えば松阪市役所に関する次の4つのケース。

 いずれも、最終的には市長の決裁や指示が必要とみられるほどの重要案件だが、報告されないまま「中間管理職止まり」になっていることはないのか。もし、あるのなら、深刻な市民への背信となろう。なければ、市長にはその経過と結果を市民に説明する義務があるのではないか。

 ①宇気郷住民協議会の交付金の私的流用=5月27日号でも報じたように、市の交付金の私的流用を監事の大窪興亜(新うきさと通信発行人)が預金通帳を閲覧して突き止めた。その結果は監査報告書としてまとめ、事務局から市の地域連携課長へ6月に送付された。

 流用されたカネは返還されているが、公金は返せば済む、というものではない。まして、今回は発覚して1年半以上も「放置」されていた。事柄の性質上、その「緩み」も含めて全容は市長に報告されねばならない。これは、「道義」からだけではなく、住民協の取り消しという大問題に発展するかもしれないからだ。

 条例によると、市長にはその認可と取り消しの2つの大きな権限が与えられている。どちらの裁定をするにせよ、市長はその経過と結果を含めた全容を市民の前に明らかにする責務がある。監査報告書が同課長へ送付されて、すでに半年が経っている。

 ②非自治会員への広報誌の不配=宇気郷地区市民センターの独断で、自治会に加入していない住民には、広報誌を配られないことに(10月31日付既報)。配布は何十年も続いていたが、昨年4月号から停止していたことが柚原町の85歳の老女が気付いたことで明るみに出た。

 市の基本見解は「もともと非自治会員には配らないようにしている」(岡田久秘書広報課広報広聴監)と言うもので、同町の場合は「好意で配っていた。特殊なケース」(同)と釈明している。市民センターの「独断」は知らされていなかったようだが、「好意」はその「独断」を正当化する根拠を与えることになりはしないか。

 広報誌の発行は市民のためであり、自治会のためではない。しかも、税金で作られているのだから市民のものだ。それを市民に届けるのは行政の責務であろう。「好意」が入り込む余地はない。

 非自治会員の数が多く、市の職員で配れないのは分り切っている。だから、シルバー人材センターやポスティング業者の活用など、次善の策を講ずるべきで、柚原町のように「欲しければ取りに来い」と切って捨てるのは、人権の観点からも許されない。しかも、同町の非会員はわずか数世帯で、歩いて届けられるところが殆ど。老女は「いじめ、差別」と、直配の復活を望んでいる。

 ③消えた獣害防護柵=柚原町の一部で、延べ100㍍以上の獣害防護柵が消えてなくなった。転売のうわさも流れる中、市は実地調査したが真相はヤブの中。警察へ被害届をが出して2年になるが、発表はまだない。関係部署の課長は「すべて警察に任せているから」と、他人事のような姿勢だ。

 ほかにも、耕作をやめたまま放置されている防護柵があちこちに。耕作者と自治会の双方に責任があるが、市はその実態をどこまで調べたのか。これにも、同課長は気乗り薄(昨年秋ごろ、写真を見せた)。税金を預かる立場としての自覚と責任が問われている。

  ④総会議事録の捏造=うきさと地区の自治会(法人)が平成30年6月、開いてもいない総会を「開いた」とする捏造の議事録を地域連携課長へ提出、法的には無効の新人事体制を決めていた。「新うきさと通信」発行人の大窪興亜が情報公開請求などで真相を明らかにしたものだが、「注意」だけで、何のペナルティもない。有印公文書の偽造は法定刑もある重罪。別の自治体によると、法人格の取り消し対象になる場合があるという。事柄の本質が分らないのか、コトを荒立てたくない、という保身本能・隠蔽体質によるものか、発覚後の動きは極めて緩慢。こちらの追及で、しぶしぶ対処したといういきさつがある。