新うきさと通信 

三重県の山里から

 真っ先に行政へ報告を―住民協の「問題」

                                              未然防止へ全地区で総点検を

 「 住民自治」と「市長による認定」という両立できない矛盾を抱えた松阪市の住民協議会。その一部で起きた「問題」についての隠蔽体質は昨年12月30日付で報じたが、行政側へは「事実」を1年以上も報告されていなかった。

 問題が発覚した際のいきさつや関係者の立場はどうあれ、踏むべき手順は①市への報告②副会長への連絡ーであろう。市からは運営の原資である税金を交付されているのだから、何はさておき、真っ先に知らさねばならないはずだが、なぜかフタをされていた。

 副会長は組織のナンバー2であり、有事の際には会長に代わって職務を代行する要職。当時は2人いたが、先行して知らされたのは住民協の一部の役員で、事後処理の立ち合いにも副会長は出席していない、という。日ごろの付き合いの濃淡がそうさせたのか、理由は定かでないが、ここでは組織人としての冷厳な判断が求められる、と関係筋は指摘する。

 さらに、カヤの外に置かれた行政も、これを機に43の小学校区にある住民協の総点検をする必要があるのでは、と同筋は提案する。その上で「住民自治」だから問題の解決には介入できないにしても、税を預かり、交付する立場からは、「未然防止」の目を光らせる責務を住民に対して負うのではないかと、思い切った「受け身」の転換を奨める。すでに、他の地区でも似たようなケースが起きていると言う。

 表面上の数字の裏に何が隠れているのか。会計は「見る」のではなく、「読む」べきもの。真実を見抜くのは簡単ではないが、改めて求められるのは、「市民のため」という行政の根本理念の歴史の重みであろう。先の大戦で310万人の日本人が亡くなっており、その上に現代の成果があるのだ。