新うきさと通信 

三重県の山里から

     議員の新規提案、またゼロ

            松阪市議会、令和元年度の審議を閉会 

 松阪市議会は3月24日、令和元年度の議会審議(令和元年6月ー令和2年2月)を終えたが、提案された議案総数は127件で、うち市長からが114、議員からが13(発議)となった(議会事務局調べ)。

 市長提案の採決の結果は、原案のまま105、修正可決0、同意9、承認4、,認定4、賛成5。議員提案のうち、改正条例案1、意見書6。新規条例案はゼロ。

 提案が多い2月議会に限ると、市長提案54で、全て原案のまま可決。議員提案は改正条例案、意見書、新規のいずれもゼロで、年間での13件も、議長交代の際などに出される「発議」が大半だった。

 同市議会は6月から翌年2月まで、4回開かれる。

             少ない「修正可決」も問題

 (解説)新規条例案の提案は、市議会議員の活動ぶりを見る上での重要な指標。地方自治の研究で知られ、自身も自治体の議員だった中央大の高橋亮平特任教授の調べでは、平成24年度の全国の1自治体当たりの議員提案率は9%。うち、新規の条例案は23.6%。年度は違うが、松阪市は当時から全国の最低レベル。

 同教授は、修正可決も重視すべきという。松阪市はゼロだが、全国平均でも0.3%しかなく、「いいものはいいのだが、99.1%がそのまま原案可決している状況では、議会の行政チェックとはどういうものか、考えざるを得ない」と、議員の主体性に疑問を投げかけている。

 議員の活動は一般市民には見えにくいが、市議会が地域発展のための機関であるからには、座して執行部からの提案を待つ、という受け身の姿勢から、自らも制度や構想を創るという能動的な姿勢に転換すべきではないか、との声も聞かれる。

 こうした中で、16日には総務企画委員会が政策討論会を開き、中山間地への移住促進策について協議するなど、新たな「行動」を始めた。